2017年度入試においては自由英作文の出題は以下のようになりました。
京都大学 30~40語が2題
名古屋大学 20語が2題
名古屋工業大学 60~80語
京都大学は2016年度入試から30~40語が2題とみられる自由英作文を出題し2017年度入試でもその形式が踏襲されました。2016年度入試では「積ん読」の説明、2017年度入試では「音楽に国境はない」という意見に対する賛否を支える根拠を書かせるというものでした。
さらに、自由英作文ではない、和文英訳では「生兵法はケガのもと」という言い回しが出てきたりして、京都大学は高校での「選りすぐりの良問長文問題集」を演習しているだけでは身につかなそうな、目線をほんの少し下げた感じというか、日常生活のなかに転がっている意外な着眼点から作問してきますね。
だからといって適当に軽く考えてよいというわけではありません。短い語数だからこそ端的に内容を盛り込み正確に英文化しないといけない。
次年度は自由英作文が出題されるようになって3年目です。このままで継続するかもしれないし、全国的な傾向・潮流をみて形式変更や語数増があるかもしれないので要注意でしょう。
名古屋大学と名古屋工業大学については、前回述べた東京大学と東京工業大学の関係と同じことが言えると思います。もともと名古屋大学を志望していた理系上位層のなかで、思いがけずセンター試験の結果が芳しくなかった受験生は、名古屋工業大学の二次配点比率が超巨大なこともあり、名古屋工業大学の前期にシフトしていくケースが多いです。
ただし、東京大学と東京工業大学の間にあった「自由英作文の訓練ムダだった」感は、名古屋エリアでは一掃されます。
2017年度入試までにおいて、名古屋大学より名古屋工業大学で出題される自由英作文の方が、要求される語数が多いのです。工学系受験生にとっては「これまで名古屋大学目指してきてて、結果として名古屋工業大学に出願することになったけど、自由英作文の練習をしてきてよかったわーしかも名古屋工業大学の方が語数多いし二次の配点比率高いから逆転の可能性高くなるわー(自分にとって有利だわー)」と考えてポジティブな材料になることがあるでしょう。
名古屋大学は、2018年度入試において、この自由英作文をどう扱うのでしょうか?名古屋工業大学との、言ってみれば「大学ブランドと入試要求の逆転現象」を解消してくるでしょうか。
大学入試改革の動きを受けて、もしかすると名古屋大学は自由英作文の出題変更・語数増へと動いていくかもしれません。
この変化動向は、京都大学での出題変更より可能性があるような気がします。。。
「名古屋工業大学は昔は自由英作文を出題しなかったが理系大学なのに思い切って自由英作文を受験に導入した。名古屋工業大学が変われたのに、名古屋大学は変われない」と言われるのは得策ではないでしょう。